先輩就農者体験談

トマト農家(H28年就農/高梁市)
與田 十也 さん

過疎集落に家族で移住。地域の担い手としても期待される「金の卵」

岡山県倉敷市の児島でジーンズの染織をしていた與田十也(よだかずや)さん。経営者になりたいと就農を目指し、現地見学会で訪れた高梁市備中町平川の環境と人に惹かれ移住、トマト農家に。今では集落の「金の卵」として、地域の担い手として期待されています。

就農産地見学ツアーで出会った理想の集落

小さいころはあまり農業に縁がなかった與田さん。地元の岡山県倉敷市児島の産業でもある繊維業に携わり、ジーンズの染織職人として6年間働きました。そんな與田さんが農家を目指したのは、実家が自営業だった影響から、勤め人としてではなく自分もいつかは経営者になろうという思いが強くあったそうです。

「ソフトな仕事より、ハードな仕事」「身体を動かすのが好き」ということから自然と農業に興味を持ち、就農に関するセミナーや相談会に参加したのが26歳の頃でした。

就農地には特にこだわりはなかったが、インターネット等で全国各地の状況を調べた結果、災害もなく天候も良い岡山の環境の良さにあらためて気付き、岡山県を就農地と決め、岡山県が主催する就農希望者向けの現地見学会に参加。その中で出会ったのがいま暮らす、備中町平川でした。

「感じる雰囲気がよかった」という言うように、はじめて訪れたときに直感で、この場所を気に入りました。

備中町平川は人口約400人の小さな集落。
農業をするにはより条件のよい地域があったかもしれないし、小さい子どもが少ないことで子育て環境も心配でしたが、「地域の人とのくらしを楽しみたかった」と與田さんはこの場所で暮らすことを決めました。

親身になって受け入れてくれた、平川村定住推進協議会

▲平川村定住推進協議会会長の江草健治さん(右)が中心となって、就農と集落でのくらしをサポートした

移住と就農を全面的にサポートしてくれたのは、集落の移住定住を推進する地元団体「平川村定住推進協議会」。同協議会が主催する「体感田舎暮らし」というプログラムに参加し、児島から1年間通いながら地域との関係を深めていきます。

1年間はすこし長い気がしますが、よそ者が少ない地域で、移住者、地域住民の双方が互いを知り受け入れるのには、この時間が必要なのだと同協議会の会長・江草さんは言います。

この間にトマト農家である江草さんのもとでトマトづくりを体験させてもらい、農業・トマトづくりは自分に向いていると感じたという與田さん、「移住して就農してから、やっぱり農業やトマトづくりに向いていないとなるとまたゼロからやり直し、その前にちゃんと体験することは大切。」と話してくれました。

同じ集落で暮らす「家族」になるかもしれないからこそ、安易に受け入れず、集落のいいところも悪いところも体験してもらい、住民とも接してもらう。その上で納得して来てもらい、この集落で根を張り、農家としても成功して欲しい。そんな真摯な集落の思いも與田さんを強く後押ししました。

就農、集落の一員として地域で暮らす

▲地域の協力もあり圃場も徐々に広げている

その後は、新規就農研修を約1年半受け、平成29年に就農。今では地域にすっかり溶け込んだ與田さん。江草さんの指導もあり、就農1年目から順調に収穫をすることができ「毎日を楽しめた」と充実の1年を過ごします。

そんな與田さんに農業の魅力を聞くと「自分たちのつくったものが直接収入になるから、自分たちの成長を実感できること」とのこと。自分の栽培技術が上がり、トマトの品質と収穫量が上がれば収入も増える。それを身をもって体験できることが仕事のモチベーションになります。

それはやはり地域にしっかり溶け込んでいる信頼感から。江草さんも耕作放棄地になる前にと、持ち主を説得して與田さんに畑を譲ってもらうなど、集落の将来を考え、與田さんを支援します。
就農にもいろいろな形があり、その多くは「職業の選択」なのだと思います。けれど、與田さんのケースは、「職業の選択」だけでなく、地域とともに歩み、地域の一員になるための道のりだったかのよう。與田さんの備中町平川での農業ははじまったばかりです。これからいろいろな苦労があることでしょう。けれど、そんな苦労も地域の方と助け合いながら乗り切っていくはずです。

(TEXT:ココホレジャパン)

就農までのポイント

・ 高梁市(岡山県)を就農地に選んだ理由
実家が自営業をしており、将来は経営者になりたかった。いろいろ情報を収集するうちに、農業が候補の一つとなり、現地見学会に参加し、高梁市を訪問した。高梁市は成功事例が多いことや備中町平川地区の方と交流するうちに高梁市を就農地と考えるようになった。

・ 農地の確保について
受入指導農家や平川村定住推進協議会が中心となって、農地情報を収集し、現在の農地を紹介してくれた。最初は13aだったが、今は30aまで拡大している。

・ 資金の確保について
ハウスなどの施設や機械は制度資金や補助事業を活用して導入した。

・ 技術の習得について
研修中に受入指導農家のもとで栽培技術を習得。研修中はトマトの栽培技術だけでなく、効率よく作業するための段取りの方法を学ぶ事ができ、そのことが大変役に立った。

・ 住居の確保について
市の移住定住部署に相談し、現在は市営住宅に入居している。

・ 相談相手は
 就農を希望する地域が決まってからは、受入指導農家、農業公社や農業普及指導センターに相談しながら準備を進めていった。

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